複数の不動産会社に査定依頼をしてしまった時の断り方
Q:プロにお聞きします。複数の不動産会社に査定依頼をしてしまった時、断るにはどうすればいい?
「住まいの今の価格を知りたい」など、軽い気持ちで一括査定サイトに入力して、不動産会社に問い合わせてみる方は少なくありません。ところが、いったんコンタクトを取ったあとは、不動産会社から営業の電話がひっきりなしに入るように。「こんなつもりじゃなかったのに」と困った事態を回避するためには、どうしたらいいのでしょう?
一括査定サイトの利用は慎重に
不動産会社も仕事ですから、見込み客に対して営業をかけてくるのは当然です。とはいえ、不動産会社の営業はしつこいのも事実。何度も電話がかかってくるのはもちろん、なかなか電話を切らせてくれなかったり、なかには休みの日にいきなり訪問してきたり。残念ながらこうした体質は、いまもあまり変わりがありません。それが1社ならまだしも、一括査定サイトを利用すると何社もの不動産会社からアプローチが届きます。複数の不動産会社から営業をかけられ、ちょっと嫌な気持ちになりながらも、ずっと営業され続けている方もいるのではないでしょうか。
実際、断り方がわからず、困っている方が多いようです。私もお客様から「実は、ほかの不動産会社とも話をしていたんだけど、御社にお願いしたい。他社はなんと言って断ればいい?」と聞かれた経験があります。なかなか断れない理由は、「一応世話になったからこのまま無視できない」「一応義理があるので、なんか申し訳ない」といったもの。真面目な方が多いので強く言えないわけです。
不動産業に携わる者としてアドバイスするなら、「ありのままの事実を伝えるべき」です。相手を考えるあまり含みのある答え方をすると相手は期待してしまいます。たとえば、「まだ売りません」「売る時期は未定です」などと答えると時期が具体化するまで追いかけてきます。一番聞くのは「他社に決めました」ですが、「契約したんですか?」「まだ印鑑は押していないですよね?」と食い下がってくる営業マンもいるので、「もう契約しました」とはっきり伝えること。お客様にそこまで言われれば、たいがいの営業マンは諦めてくれるはずです。
不動産会社へのアプローチは吟味してから
売却の場合、業界内で情報が共有されます。専任媒介契約を結んだ不動産会社が明らかになるわけですから、それを見た他社の営業マンは「自分も査定させてもらったけど負けちゃった」と自覚します。事実を曖昧にしていても必ずバレてしまうのですから「○△不動産さんに専任でお願いしました」と堂々と言ったほうがいいわけです。
では、「売るのか、売らないのか」、売るのなら「いつ売るのか」をまだ決めていない場合はどうすればいいのでしょうか。「しつこい営業はかけられたくない」と思っているのなら、あらかじめそうならないようにするのが得策。不動産会社に相談するときは、同時に何社もの会社には相談しないようにしましょう。
不動産会社としては、売却の案件をお客様からお預かりすることは、商売する上で一番ありがたいことです。手数料などのことを考えると、取引のお手伝いをすることで会社の収益に大きく貢献するから。不動産会社としては是が非でも獲得したい案件になりますから、営業マンにハッパをかけます。営業がしつこくなる理由はここにあるわけです。
したがって、気軽な雰囲気に見せている一括査定は、裏を返せば、まったく気軽ではない、シリアスな要素を隠しています。査定する不動産会社は真剣そのものなので、気軽に何社も頼むのは注意した方がいいでしょう。
もし、頼んでしまった場合、その気がないのなら、不動産会社からのアプローチは一切無視するのが一番です。「電話もメールも無視するのはちょっと心苦しい」とおっしゃるのなら、はっきり断りましょう。「興味本位でいまの住まいの価値を知りたかっただけ。売る気はありません」という立場を明確にしないと、不動産会社は期待してしまうからです。逆に、売却の意思が固いのなら、まず不動産会社を慎重に吟味して、絞り込んでからアプローチすることをお勧めします。
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