売却で手元に残るお金のこと
住まいの売却代金から経費を差し引き、手元に残ったお金のことを不動産業界では「手残り」と呼んでいます。住まいの売却には、住み替えのためや住む人がいなくなった実家の処分など、いろいろなパターンがありますが、いずれの場合も売却には経費が付きものです。売却代金がそのまま手元に入ってくるわけではないので、よく考えておく必要があります。
売却での収支を把握しておく
住まいの売却の仲介を不動産会社に依頼した場合、成功報酬になりますが仲介手数料の支払いが必要です。また、現況測量が必要にあるケースも少なくありません。売却で入ってくるお金だけでなく、出ていくお金についても最初から計算しておく必要があります。
さらに言えば、売却後に課せられる税金についても無視することはできません。多くの場合、住まいを買った金額より売れた金額が高くなることは稀です。利益が出ていない”売却損”なら課税されませんが、高く売れた場合は要注意。売却益が出れば課税されますから、喜んでばかりはいられないからです。
不動産会社で住まいの売却について相談すると、たいがいの場合、売ろうとしている住まいの査定から話が始まります。不動産会社からの話はこのようになるはずです。「○△様のお住いを査定してみたところ、2,800万円から3,200万円ぐらいの間で売れると思われます。住宅ローンの残債が2000万おありなので、残額は800万円から1,200万円の間です。そこから経費として仲介手数料100万円ぐらいと現況測量の費用が40~50万円、抵当権の抹消費用に3万円程度、印紙代が1万円かかります」といった説明があり、翌年の税金などを加味して計算し、手残りの金額が提示されます。
住み替えを考えていた場合、手残りの金額から新居の頭金など、新しい住まいにかけられる金額を算出します。つまり「このくらいの金額で売れると思いますので、新居はこのくらいの金額のものがいいでしょう」と新居のイメージが具体化してくるわけです。実は、これらの金額に関する見立てが住み替えではとても重要になります。売れる金額が大きくブレると資金計画が機能しなくなるからです。
高めの査定額に惑わされてはいけない
住まいの売却を不動産会社に依頼するとき、最も注意すべきなのは査定額です。買取とは異なり、仲介の査定額はあくまでも予想であり、そのままの金額で売れるとは限りません。高い査定額を提示してきた不動産会社に任せたところ、いつまで経っても売れないだけでなく、販売価格の見直しを何度も強いられ、住み替えのプランが大きく狂ってしまった、などという話はよく耳にするものです。
たとえば、6年前に購入した中古物件が最近、某大手不動産会社から売りに出されました。6年前の販売価格は2,480万円で、某大手のチラシを見たところ、なんと3,780万円で売り出されていたんです。いくら周辺の相場が上がっているとはいえ、この金額では絶対に売れません。2,680万円から2,880万円ぐらいが適正価格のラインなので、その差は約1,000万円。案の定、4カ月の間に3回価格が下がり、3,080万円になりました。でも、まだ売れません。最終的にはあと200万円~300万円くらい下がるでしょう。
これは決して極端な例ではありません。不動産会社としては、売値が700万下がったとしても、仲介手数料は数十万しか変わりませんから、「他の会社より高値を提示して物件を確保しろ!」と上司が発破をかけたはず。一方、売主様にしてみれば大迷惑です。最初の金額で住み替えの資金を計算していたら大変です。なにより、「この金額で売れたらこんな家に住めるかも」と夢を描いてしまっていたなら、悲しいですよね。
このように、査定額はとても重要になってきます。高めの査定額は、後になって大きく変わってくる可能性がありますから、その金額に基づいて住み替えを計画するのは危険です。特に、今の住まいが売れる前に新居を購入する「先買い」は慎重に検討するべきです。
住宅ローンの残債が残っている場合、基本的にまずはいまの住まいを売却し、手残りが確定した状態で新居を購入すること。「こんないい物件、もう出ませんよ」などと購入を急がせるような不動産会社の甘言には絶対に乗ってはいけません。
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