離婚する前の査定は可能?
Q:離婚を考えていますが、査定をしてもらえる?
いまや結婚したカップルのうち「3組に1組が離婚している」とも言われています。実際のところ、「離婚を考えているので、不動産を処分したい」といった内容の相談が増えているように感じます。では、離婚が具体性を帯びてきたとき、不動産売却についてどこに留意すればいいのでしょう。
住まいを財産分与する
離婚に際する実務のひとつに「財産分与」が挙げられます。財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた共同の財産を、離婚時に分けて精算すること。婚姻中に住まいとして購入した一戸建てやマンションは、夫と妻、どちらの名義であっても共有財産となり、財産分与の対象となるわけです。
共有財産ですから、夫婦のどちらかが勝手に売却することはできません。しかし、現在の資産価値を知る程度であれば、まったく問題はないと言えます。したがって、結論から先に言えば、離婚前であっても住まいの査定は可能です。
とは言え、「現在の相場を知っておきたい」という程度なら、まずはインターネット上で必要項目を入力すると即座に査定額が表示されるAI査定や、不動産会社が既存のデータをもとに査定する机上査定をおすすめします。詳細な査定は、離婚が確定的になり、財産分与が具体化したとき、実施するからです。
一戸建てやマンションなどの住まいを財産分与する方法は大きく2つあります。まずひとつは、住まいを売却して現金化し、夫婦で分配する方法です。住まいに住宅ローンが残っている場合は、残債を返済したのち、残った金額を夫婦で分けます。分配の比率は平等が基本ですが、話し合いで決まる場合がほとんどです。
もうひとつは、住まいを査定して現在の評価額を割り出し、それを夫婦で分与する方法があります。これは、住まいを現金化せずに、夫婦のどちらかが住み続ける場合に用いられる方法です。
財産分与の流れ
では、財産分与の流れを見ていきましょう。まず、不動産の名義人を確認します。夫の名義か夫婦共有の名義になっているケースがほとんどですが、夫や妻の父親など親族名義になっている場合もあるので注意が必要です。住まいの名義人がわからない場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して確認します。法務局や郵送、オンラインでの取得も可能です。
住宅ローン返済中の場合は、次に住宅ローンの契約名義人と残債を確認します。前述のように、ローンの残債によって財産分与の金額が変化するからです。また、住宅ローンの連帯保証人の有無も確認しておきます。ローンの内容については、借り入れた金融機関に問い合わせましょう。
次に住まいの査定を不動産会社に依頼します。離婚することが確定的な場合は、財産分与の金額をきちんと算定するため、訪問査定を依頼して住まいを詳細に調べてもらいます。
住まいの現在価格を査定してもらうとともに、特有財産を確認します。特有財産とは、夫婦の協力とは無関係に取得した財産や婚姻前から所有していた財産などのこと。住まいの購入に際して夫や妻の親族から援助があった場合、特有財産としてその分を差し引いて計算します。
たとえば、6,000万円の住まいを購入したとき、妻の親から2,000万円の援助を受けたとしましょう。離婚のとき、住まいは時価3,000万円になっていました。妻の親からの援助は妻の特有財産とみなされますが、不動産価格の減少と同じ割合で減少するため、1,000万円となります。この金額を住まいの時価3,000万円から差し引くと、財産分与の対象額は2,000万円。これを夫婦平等に折半した場合、夫は1,000万円で妻は特有財産を合わせた2,000万円を受け取ることになるわけです。
最終的に、財産分与の金額は夫婦の話し合いで決めます。歩み寄る気がない場合、両者の間に弁護士を立て、家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。時間や費用、心理的な負担がかかりますが、きちんとしておいたほうがいいでしょう。住まいに関しては、離婚が決定的なら売却することをおすすめします。離婚後はお互いが非協力的にならざるを得ませんし、時間が経てば経つほど手続きが煩雑になるからです。
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