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身内との不動産売買の注意点はありますか?

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身内との不動産売買の注意点はありますか?

 

Q:親族間での不動産売買の注意点は?

 

皆さんが所有している住まいは第三者に限らず、親兄弟や息子、娘といった身内、つまり親族に対しても売却できます。親族間売買なら、気心が知れた間柄だけに融通がきき、おトクな売買ができると考えがちです。しかし、実際には注意しなければならないことも少なくありません。そんな親族間売買の押さえておきたいポイントをお話ししましょう。

 

売却価格によっては贈与税が発生することも

 

親族間売買と一般的な不動産売却では、大きな違いがあるのでしょうか。実は、支払う税金や費用、取引の流れなどに大きな相違点はありません。一般的な不動産売買とは異なり、親族間売買で注意すべきポイントは大きく2つあります。「売却価格」と「住宅ローン」がそれです。

 

まず、売却価格について説明しましょう。「親族間での売買なので、他人同士ではあり得ないような、安い価格の取引も可能なのでは?」と考えてはいませんか。これが大きな落とし穴となる可能性があるのです。

 

たとえば、相場では4000万円になる親名義の物件を、半額の2000万円で義理の息子に買ってもらったとします。これ、「親族間だからOK」にはならないかも知れません。

 

相場の半額という売却価格は「著しく低い金額での取引」とみなされる可能性が高くなります。そうなると、相場との差額である2000万円が「みなし贈与」として贈与税の課税対象になってしまうのです。

 

「著しく低い金額」に明確な規定はありませんが、これまでの判例をもとにすると、時価(相場)の80%が目安とされています。例でいえば、相場で4000万円の物件なら3200万円を下回る金額で取引すると「みなし贈与」とされる可能性が高いわけです。身内だからと気軽に安く取引すると、売却時にかかる税金に加えて贈与税もかかることがあるので気をつけましょう。

 

審査が厳しい住宅ローン

 

親族間売買で注意すべきもうひとつのポイントは、住宅ローンです。親族間売買で住宅ローンを利用しようとする場合、審査が一般的な住宅ローンの何倍も厳しくなるのです。

 

これには理由があります。安い金利で融資した住宅ローンが、住宅購入以外の目的に利用される恐れがあるからです。親族間、特に親兄弟など親しい間柄なら、融資された資金を容易く流用できます。金融機関はこれを防ぐため、審査を極端に厳しくしており、親族間売買は取り扱わないところもあるほどです。

 

利用しにくい住宅ローンの代替え案として考えられるのが分割払いです。売買代金を一括で支払えない場合、契約書に支払い方法を分割払いにする旨を記載します。この場合、贈与税の関係から、利息も支払うことを明らかにしておきましょう。

 

長年親しんできた住まいの売却を考えるとき、赤の他人に売り渡すのはなにかと不安が大きいものです。その点、住まいのこともお互いのこともよく知る身内に売却する親族間売買は、安心して取引できる方法と言えるでしょう。また、支払い条件や引き渡し条件も柔軟にできるのがメリットと言えます。

 

一方、親族間売買のデメリットとしては、前述のように「みなし贈与」が疑われやすいこと、住宅ローンが利用しにくいことに加えて、税法上の特例についても注意が必要です。一般的な不動産の売買では、控除や特例など、税法上のさまざまな恩恵を受けることができますが、親族間売買では、適用対象外となるケースがあるからです。

 

親族間売買を上手く行うためには、まず、売買契約書をきちんと作成すること。身内だからといって口約束だけで取引するのは危険です。後々のトラブルの火種となることを避けるだけでなく、税務上も必須と言えます。また、取引を行う当事者だけでなく、相続人全員から了解を得ておくことも大切です。

 

親族間売買は個人で行うことも可能です。しかし、不動産の売買にはさまざまな準備や煩雑な手続きが避けられないのも事実。無理せず、信頼できる不動産会社や司法書士などに相談することをお勧めします。

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